「絶望的です」

 安藤忠雄氏が若い人の将来的意識をより高く持ってほしいということで、関西の大学で講演会をして回っているらしいのだが、神戸大学でも先日その講演が行われ、ちょっと興味をそそられたので拝聴させて頂いた。

 講演会のコンセプトは「次の世代の若者たちへ」ということで、イベントを告知する張り紙には本人の言葉として以下のような文言が書いてあった。

 世界中を飛び回って、日本の社会、関西のあり方、その将来を展望しますと、なにかと気がかりなことがあります。活力や元気が下がりつつある気がします。
 そんなときに、いちばんの希望である次世代の学生さんたちが、もっとしっかりと世界や自分を見つめて前向きになることが大事だと思っております。建築家としてだけでなく、共同体の大切さを空間の設計を通じて追求した人間として、生き方、働き方を含めて、学生さんに直接に、日ごろの考えをお話したいと思っています。

 この文言を見る限り、失礼ながら無難な講演になるのかと思いきや、比較的軽快でピリリと辛口な言動もあり、予想に反して面白くタメになった気がする。
 印象的だったのはよろしくない状況を示唆する表現として「絶望的」という言葉を用いられたこと。

 例えば東大の入学式には3000人の入学生に対し、それに同伴の父兄が6000人以上会場にいるという状況を「絶望的です」と口にした。
 安藤氏にいわせれば、子供が一人立ちする式と同義なのだから、両親は出て行ってくれと言いたいところらしい。
 これには「さもありなん」と納得せざるを得なかった。

 講演の内容を思い切り簡潔にまとめると、自分が生きる術を見つけて両親なり祖父母なり、世話になった人に恩返しができて、それをさらに広い観点でいうと社会で何かを成す・アピールできるようになるために視野を広く持ち、世界を知り、将来への夢なりモチベーションを維持し続けろというような内容だった。
 またこれは講演の内容ではないのだが、安藤氏は最終学歴は高校であり、建築士としての資格と経験は独学で習得したそうだ。
 しかし安藤氏が博識と言われるカテゴリに属する人間であることが、講演を聞いているとその節々からわかってきて、今さらなのだが高等教育の場というのはあくまで環境であって、知識そのものではないのだなと感じた。
 つまりいくらいい大学を出たからと言っても「勉強のできる頭の悪い人」では話にならないわけであり、それなら「高卒で成績は悪かったけれど頭はキレる人」の方が、教育機関の外では強かったりするわけである。
 そういう意味では学歴というのは優劣の1つのファクターではあるけれど、決定的な揺るがぬアドバンテージとは言い切れず、最終的には本人の素質(努力・意欲含む)次第なのだと思った。

    • 2009 06/24 10:49am

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    「万物に普遍の絶対的なベンチマークなんてない」っていう前提条件をわかってるひとにはごく自然な論の組み立てかも。
    大人になって自立すると当たり前にわかってしまうことだけど、どんなことでも若い頃に夢みたり理想にしてしまう生き方がどうすればできるかは、きっとだれにでも重いテーマなんだと。それをこれから社会に出るひとが説いてもらえる機会は珍しいですし、貴重な経験だとおもいます。
    あたしもじぶんとちがう生き物を排除するだけの情けない大人にならず、斜交いからものを見るくらいの位置づけでいいからそんな風に若者を応援できる人間になりたいです。(超まじめ!

    • 鬼灯
    • 2009 06/24 12:32pm

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    ノウハウではなくて意識や価値観を直接伝達してもらうのって、活字などを媒介にするよりもずっとエネルギーを受けやすいから、精神的な燃料補給をしてもらったような気がしてありがたかった。
    探究心や向上心を失した時から老化は始まるともいうし、やはり血潮をたぎらせるモノを何か持っているって大事だよなぁ。

    • ekkek
    • 2009 06/24 10:31pm

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    コメントする隙間が無いくらい、書きたいことが書かれてるので。
    だから、「何も言えねー」ってことで、以上。

    • 鬼灯
    • 2009 06/24 10:38pm

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    内容が内容だけに面倒くさいしねw
    書いた本人が言うのも何だけど、自分が読者側ならよっぽど何か付け添えたいこととか反論したいことがない限りコメントしないし、意図がわかりにくかったら最悪読み飛ばすわ。
    そういう文面にならないようにと思って記述してるけど、やっぱ無機的で面白くない記述が多くてねぇ。

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