日本は福祉国家じゃないのですか?

 社会保障制度を導入している以上、日本も福祉国家と呼べるはずなのだが、国の長が社会保険制度の根本をまるで知らないような発言をしているので、正直戸惑っている。

以前になぜ保険金は基本的に掛け捨てなのかいう記事の中でも「金銭的リスク分散」という単語で若干記したが、保険金というのは積立年金のように蓄積し、有事の際に還元されるというシステムでは決してない。

 人間誰もが生きている限り怪我もすれば病気にもなるわけだが、そのような損傷(リスク)を治療(解消)するためには、必ず費用がかかる。
 しかもこれが安いとは限らない。
だけれど誰かが必ずそういうサービスを受けるのは、目に見えているわけである。
 それはもしかすると自分なのかもしれない。
 もし自分だったとして、治療するためには自分では負担しきれないほどの高額な対価を払わなければならないとすれば、経過は絶望的なものになるだろう。
 自分のみならず誰もが同じようにそのリスクを負う可能性を持っているのならば、そういう人たちであらかじめ自分がリスクを負う可能性の度合いに応じた金銭を拠出しておいて、運悪くリスク可能性を引き当ててしまった人が出た場合に、その基金から治療費を出そうじゃないかというシステムが保険というものである。

 だから「俺は病気も怪我もしなかったんだから、保険料返してくれよ」というのは、「このリスク分散システムから降りますよ。損傷が生じても自分でなんとかします」と言っていることと同義なのだ。
 なんとかできる人はそれで結構だが、なんとかできなかった人は有事の際に募金を募るとか、悟りを開くなどの選択肢しかなくなる。

 だから損失を負わなかった人は本当ならば「痛い目を見ずに済んだ、よかったよかった」と解釈すべきなのだ。
後日また記したいと思うが、国家がこの社会保険制度を担うがために胡散臭いシステムのように思われがちなのだが、それゆえに保険というものの本来のコンセプトを知らない人にすれば「払った分くらいは取り返させてもらおう」という意識が湧いてしまう。(合理性の罠という)
 まぁ加えて言わざるを得ないとすれば、現状の社会保険が相互扶助制度と混同しがちなことにも問題があるのだけれども。

 もちろん、今回の発言を「病気だとかで医者が必要になる前に予防すればいい」と解釈すれば、それはそれで賢明な進路だと思う。
 おそらくはそういう意図だったと思いたいが、本気で「還元しない保険料を払うのはバカらしい」と考えていらっしゃるようなら、かなり危うい。

 まぁ保険が一般的にわかりにくいシステムで、それを説明する機会が少ないということにも問題がありそうなんだけれども…。

    • k
    • 2008 11/28 1:12pm

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    有事の際が随分極端だなww
    しかしこのシステムを利用して、アレな科にいって「死にたい」「眠れない」と呟いて、あーんな薬やこーんなクスリを貰って、インターネッツで転売するんですね

    • 鬼灯
    • 2008 11/29 2:10am

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    公的保障制度を設けるとそういう事態が生じたりするのがデメリットなんだよなぁ。
    おそらくこういう社会保障システムっていうのも、経済システム(資本主義とか共産主義とか)みたいに、「コレ選んどけば間違いねーよ」っていうような特効薬的なモノは無いんだろうと思うよ。
    どうしても長所と短所が出てくるだろうから。

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